第95話 覚醒

「なぜ陰陽師が魔界魔術を使える?」ルシファーのまま復活したイハラが言った。
「俺は……生まれた時から王だった。俺は魔を統べる闇の帝王サタンだ。覚醒せずに人間として生きていこうと思ったが、それは叶わなかったようだな」憂いの中に威厳をたたえた表情のモトが言った。背後には巨大なビースト(獣)が主人を守っている。。
「地上にいる全ての魔王はオレに忠誠を誓うか、逆らって魔界に落とされるかどちらかだ。魔王ルシファー、どっちを選ぶ?」モトが威厳ある態度で言った。
「俺もお前を覚醒させる為の駒の一つだったのか……いいだろう。この身を全て捧げ、忠誠を誓う」ルシファーが言った。
「その言葉に偽りがあった時、オレは貴様に触れて命運と魔力を奪い取り、貴様を魔界に送り返す」モトが言った。
「イエス・マイ・マスター」ルシファーはモトの足元に跪いた。

「ルシファー、これから相模原にあるSS第1戦車連隊第2戦車大隊の基地に行く。人間の姿に戻ってつきあえ」モトが言った。モトはイハラに自分の愛車を運転させて相模原に向かった。首都高も東名道も渋滞がなかったので、1時間半でモトとイハラは相模原にある基地にたどり着いた。
「あ、モトさん、久しぶり。なんか見ないうちに雰囲気が変わったね」第2戦車大隊長のアツ・フォン・クプファー武装SS少佐がモトに言った。
「ああ。今日はH中隊のハジ・ヴァイドリング武装SS少尉に用がある」モトがアツに言った。
「わかった。ちょっと待ってて」アツは携帯でハジを呼び出した。

「お待たせしました……大佐どの?」ハジがモトを見るなり言葉を詰まらせた。
「お前も魔王ならこの世界でのルールは理解しているな」モトがハジに言った。
「大佐どの……まさか魔を統べる帝王サタン様?」ハジが疑いの目でモトを見る。モトの放つ気はもはや人の者ではなく、魔を統べる者のそれとなっていた。
「そうだ。オレはサタンだ。地上にいる全ての魔王はオレと契約しないかぎり存在してはならない」モトが魔王アスタロトであるハジを見据え、言った。
「モトさんとなら喜んで忠誠を誓いますよ。困っていた僕を救ってくれたしね」ハジが言った。
「不実を働いた時、命運と魔力をすべてオレに奪われる。それでも忠誠を誓えるか?」モトが言った。
「不実を働く理由がないっす。喜んで忠誠を誓わせていただきます」ハジが言った。

「とりあえずわかっている範囲の魔王の忠誠を勝ち得たわけだ」モトはそう言うとイハラが待つ車に戻り後部座席に座った。(つづく)

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