第96話 魔を統べる者の日常

モトは魔を統べる帝王サタンとして覚醒はしたが、君臨はしなかった。配下の魔王たちも拘束されることはなかった。モトは今までどおり、武装SSの1大佐として積もり積もった書類の山と格闘していた。

「手伝いましょうか?」同じ執務室でお茶を飲むしか仕事がないイハラが言った。
「軍隊の中ではお前の方が上官だ。そこで茶でも飲んでろ」モトが言った。
「イエス・マイ・マスター」イハラが言った。

「しかしまあ、こんなに処理に困る大暴れをしてくれたものだな。ルシファー」モトが眉間に皺を寄せながら言った。
「申し訳ございません」イハラが詫びた。
「もうオレ、限界だったんだ。お前がオレを覚醒させたかもしれないが、他の誰かがオレを狙っても、同じ結果になったと思う」モトが書類に目を通しながら言った。
「ただ、永遠に39歳なのかと思うともっと早く覚醒しておけばよかったかもね」モトが言った。
「じゃあ、俺と一つ違いなんですね、俺は40歳でルシファーと契約したから」イハラが言った。

モトが書類と格闘していると陰陽師のネジとヤツがやって来た。ネジとヤツにはモトが魔を統べる帝王サタンであり、その背中には常に巨大なビーストが寄り添っているのが見えた。

「俺たちまだまだ未熟です。覚醒前にモトさんの正体を見破ることが出来なかったんだから……」ネジが言った。
「俺も未熟だった。モトさんが普通の人と違うのは感じていたけど魔を統べる帝王サタンだったとは……」ヤツが言った。

「ところで2人で何しに来た?」モトがネジとヤツに尋ねた。
「モトさんと一杯やりに来たんです。書類処理は出来ないから手伝えないけど、アフターファイブの手配なら出来るかな……なんてね。あ、ユースケとコースケ、未成年のタクオは基地に置いてきました。」ネジがモトに言った。
「今何時だ?」モトがネジに尋ねた。
「1655時です」ヤツが答えた。
「5分でできるだけ安い居酒屋を確保せよ。六本木の店はどこもぼったくるからな」モトが言った。ネジは早速六本木界隈でいつも愛用している一番安い飲み屋に予約を入れた。(シーズン1、終)

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