第93話 Returner

「ルシファー、俺に強い肉体をくれ」ディバックが言った。
「強いかどうかはわからないが、面白い肉体を冷凍保存してある。この肉体はモトの親友の肉体だ。あいつが取り乱す様を想像するだけで笑いが止まらないよ」イハラが言った。モトとY4を追いつめようとして逆に追いつめられたイハラはついに完全に魔王ルシファーになってしまっていた。
「その肉体を俺に寄越せ。今度こそはモトを殺す」ディバックが言った。
「わかった。大切に扱えよ」イハラが言った。冷凍された肉体にディバックが憑依した。
「その男の名はモリシ・コグラー。武装SS特務曹長で善良な人物だ。この男にためらいなく引き金を引くようだったら魔王の称号をモトに与えてやりたいぐらいだ」イハラが言った。
「わかった。この男の肉体を使ってモトとやらを苦しめてやろう。首を絞めるようにしてな」ディバックが言った。

「酒が抜けたから帰る。今日もまた0900時から1700時までデスクワークだ」0600時に目を覚ましたモトが言った。あれほどあったスナック菓子と焼酎はすっかり片づけられていた。
「わかりました。ご無事を祈ります」酒を飲ませてもらえなかった19歳のタクオだけが起きていて、他の面々は深酒の効果で宿直室や兵舎で寝ている。換気をしたのも酒の空きビンやスナック菓子の袋などを片づけたのもタクオらしい。

モトは愛車を自宅に止めると自宅で朝食を取り、普段どおり愛車で六本木へと向かった。

「?」モトは基地の駐車場で邪気を感じた。
「モトさーん!」モリシが近づいて来た。モリシの右手にCZ75オートピストルが握られていたのをモトは見逃さなかった。モトはモリシに飛びかかると右手の拳銃を右足で蹴落とした。

CZ75 9mmオート・ピストル

「何するんだよ、モトさん。せっかく苦しまないように狙っていたのに」ディバックが言った。
「お前こそ、なぜオレを苦しめる。オレはこの世界を悪魔の手から守りたいだけなのに!」モトが珍しく語気を荒げた。
「僕だってモトさんと戦いたくない。でも、この世界を悪魔が手に入れるためにはモトさんを消さなきゃならないんだ」ディバックが言った。
「モリシの口で何を語る。お前の正体は何だ?」モトがKP89を抜いて言った。(つづく)

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