第92話 Change

「ルシファー、随分俺を酷い目に遭わせてくれたじゃないか」パンチパーマの暴走族の肉体に憑依しているディバックが言った。
「こちらこそ君に失望だ。素手でぶん殴れば一撃で倒せる相手じゃないのか?」ルシファーがディバックに言った。
「俺は人間を炎で焼き尽くすのが趣味なんだ。素手で殴り殺したってそんなの殺しの内に入らない」ディバックが言った。
「相手は数々の強い悪魔を魔界に送り返して来た凄腕だ。判断も速いし射撃も正確かつ無慈悲。しかも呪文はほとんどNG。そう言う男だ、モトは」イハラが言った。
「俺たち以上の怪物だな。あいつ」ディバックが言った。
「かもしれないな」イハラが言った。

その頃、モトは兵舎のベッドを借りると酒が抜けるまで眠りつづけた。家族には携帯電話で今晩は帰宅できないと告げていた。モトの家族も父親が職業軍人で危険な任務に従事していることを理解していたので詮索はされなかった。

「なんか、俺が士官学校に行っている間に世の中が変わったみたいだな」ユースケが言った。
「ああ、お前は最悪の部隊で実地訓練を受けることになりそうだな。恐らく他の部隊の士官候補生の4倍は苦労するだろう」ネジが言った。
「でも、この部隊は変わってないみたいだ。4倍苦労しようが俺はこの部隊で実地訓練を受けたいと思う」ユースケが言った。

「ところでユースケ、お前、久しぶりにモトさん見て、どう感じた?」ネジがユースケに尋ねた。
「別に……なにも感じなかったけど」ユースケが言った。
「本当に、なにも感じなかったんだな?」ヤツがユースケに尋ねた。
「人外なる魔力を感じるのは俺だけか?」ネジが言った。
「俺に言わせればモトさんの魔力は既に人間の肉体の許容量を超えている。いつ暴走し、人間から悪魔に変じるか、俺は正直その場には居たくないな」ヤツが言った。(つづく)

次のページに進む

メニューに戻る