| 第8話 プライベート・ヨンチョル(その2) 「ラジオが悲しい音楽ばかり奏でてるぞ、何が起きた?」戦闘とは全く無縁のところまでしか進軍できなかったB中隊のヤツは歩兵戦闘車の上に横たわって大韓王国のラジオ番組を聞いていた。 「皇た子様と第2おじ様が戦死なさいました」ヨンチョルがたどたどしい日本語で言った。武装SSでは義勇兵でも公用語は日本語である。 「皇子が何人死のうが構わない。俺たちの敵はキム・ジンヒュン国家主席とそのロイヤルファミリーだ」ヤツが言った。 その頃、武装SS指令部付き参謀士官のモト・スタインホフ武装SS大佐は同じく武装SS指令部付き参謀士官のミョンボ・ハイネン武装SS大佐から一人の2等兵を探し出すよう依頼された。 「海の中で針を探すようなもんだな。部隊の再編成や現地補充などで人事は混乱している。多分データベースどおりにはいかないでしょう」モトがミョンボに言った。 「それは百も承知だ。しかし、ここで大韓王国の血統が絶えれば現国王の死後、革命戦線軍が再南下してくるのは間違いない」ミョンボが言った。 「第3皇子がいるだろ?」モトが言った。 「その第3皇子は今日、開城(ケソン)で戦死が確認された」ミョンボが言った。 「そいつはヤバイな」モトが言った。 「しかしジンホ王が宮廷の踊り子、ミョンゴルと肉体関係になり、2人の間にヨンチョルという子供ができた。しかし、婚外子の存在は宮廷にとって不都合。ミョンゴルとその息子ヨンチョルはキッテルという名で第三帝国で暮らしていた。そのヨンチョルを探し出してもらいたいのだ」ミョンボが言った。 「わかった、データベースで検索し、ヨンチョルが所属する部隊の現在位置を確認する」モトが言った。 「我が民族の勝手につきあわさせて済まない」ミョンボが言った。 「お互い様だ」モトはそう言うと部屋を立ち去った。 「どれどれ、ヨンチョル・キッテル、武装2等兵、19歳、第1機甲擲弾兵大隊B中隊所属……か」モトはノートパソコンのキーボードを叩きながら呟いた。 「で、そのB中隊の現在位置は……平壌政庁?!」モトは画面を見て、頭を抱えた。 「ともかく考えよう。つーか、オレの部下を使うしかないな。そうだ、Y4を使おう」モトは昨年モトの指揮下にあったネジに野戦携帯電話をかけた。 「ゲリラ戦まっ最中の平壌に行って2等兵を探すんっすか?」ネジがモトに言った。 「そうだ。2等兵と言うのは語弊があるかも知れないな。大韓王国の新しい皇太子だ」モトが言った 「面白そうですね。よし、乗った。Y4で探しに行きますよ」ネジが嬉しそうな声で言った。(つづく) 次のページにつづく メニューに戻る |