| 第75話 ゴキューの受難 「魔術師が一般部隊でやって行くのは大変だっただろう。19歳の時、仲間を守って術を使い、剣付戦功十字章を授与されながら部隊からはお払い箱。その次の部隊には2年在籍していたが、やはり窮地に追いこまれて術を使い、第2級鉄十字章を授与されながら部隊から怪物呼ばわりされて追い出された。その次の部隊では窮地を脱するために術を使ってしまい第1級鉄十字章と引き換えに転属。その後、士官候補生学校に進み、指揮官養成所を経て、この部隊か」トモティンがゴキューの略歴を見て言った。 「Y4部隊の募集があったので、迷わず応募しました。どんな部隊にいても結局最期は怪物扱いされてお払い箱ですから」ゴキューが言った。 「この部隊で術を使えないのは車長のマサキさんだけだから安心だよ」コースケが言った。 「でも、運転兵の募集だって言うのは見なかったみたいだ。96式装輪装甲車の天井はかなり低いからね」トモティンが言った。 「運転兵でも……Y4部隊に入れるだけで光栄です」ゴキューが言った。 「Y4の連中が出ていった後、装甲車に残されるのは心細い。運転兵が魔術師というのは術の使えない僕には頼もしい」マサキが言った。 「……魔術師と言うだけで感謝されるだけで感動します」ゴキューが涙を流して言った。 「オレが経歴から自身が陰陽師だということを消したのはこうなることを防ぐことだった。一般部隊は魔術も陰陽道も想像上のものだと思っている。だが、これからは悪魔が世界を侵食する。そうなって初めて俺たちサイキックは感謝される……っていうか俺たちサイキックが戦わなければこの世界は悪魔の手中に堕ちるだろう」モトが言った。 「あのー、実況検分は終わりましたか?」トモティンがSDの隊員に言った。 「今終わったところだ。なにか用ですか?」SDの隊員が言った。トモティンは復活の呪文を詠唱した。ツナミが何もなかったかのように起きあがった。 「最高の証人を連れて行ってくれ」トモティンがSDの隊員に言った。SDはツナミが憑依されて変身したベリスの炎の呪文で死人を出している。SDの隊員はなぜこうなったか知りたがっていた。 「わかりました。証人として尋問します」SDの隊員は2人がかりでツナミの両腕を固めると取調室へと向かった。(つづく) 次のページに進む メニューに戻る |