| 第73話 崩壊する世界 「イハラめ、あったらぶっ殺す!」ヤツは怒りに肩を振るわせながら言った。だが、いくらその正体が魔王ルシファーだからと言って、中尉に過ぎないヤツが武装SS准将という肩書きを持っている人間を殺せば軍法会議で死刑を言い渡されるのは間違いない。 朝食を食いはぐれた上にいつ爆発するかわからない爆弾男を抱え、Y4のメンバーは困り果てていた。 「昼食の場で、Y4の今後について話し合おう」珍しくトモティンが意見を提案した。 「ならあの焼肉屋がいい。モトさん、手配してもらえるっすか?」コースケが言った。 「おう。わかった。今から電話する。KCIAの奴らが日本に来てなければ例の部屋を手配出来るはずだ」モトが言った。 運が悪い時は何事も悪い方向に転ぶものだ。モトが携帯で焼肉店に電話をすると、部屋には既に先約が入っていた。 「2番目に機密が確保される方法を選ぼう。この部屋に出前をとろう。この部屋の盗聴器はゲシュタポの許可を取って全部取り外させてもらった。ピザがいいか中華がいいか、寿司がいいか選べ」モトが言った。Y4はピザを選んだ。29分54秒後、Lサイズピザ4枚が届いた。 「ぎりぎりっすか?」ピザ屋が言った。 「ロスタイムを取ってやる。感謝しろ」ネジはそう言うと仲間から徴収した代金を支払った。 「どうやらオレたちは無用な殺戮を繰り返してしまったようだ。二酸化炭素がオゾン層を蝕むように、魔界とこの世界の境界線もあいまいになりつつある。と、オレは思う」モトが独断で選んだメガミートピザを食べながら言った。 「同感。今年は毎月のように戦争があったし、東京のテロもあった。召喚の呪文や術が無くても魔界から奴らがやって来れるのかもしれないっす」コースケが言った直後、ヤツが連射可能のG18Cを構えた。 「『直接憑依』ってやつだな。話は変わるが奴らが来る」ヤツが言った。 「ああ。そうだね」ネジもヤツと同様に悪魔の気配を感じた。モトもKP89を構えた。KP89は安い部類に入る拳銃で作りも武骨だ。大佐が持つ拳銃としてはチープな印象があるし軍人が持つにはそのステンレス複合材製の外見は目立ちすぎる。 |
![]() KP89 9mmオートピストル |
そしてついに奴らがドアを蹴破ってやってきた。(つづく) 次のページに進む メニューに戻る |