| 第70話 横浜名物 トモティンが駅前ロータリーで待っていると紙袋を持ったモトが現れた。 「大変だっただろう。ヤツがメールで写真を送ってきたが、まあ、豪快に鋼鉄製のドアが蹴破られているな」モトがトモティンに尋ねた。 「控え室のドアも破壊されました。いまは遺体が5体転がっていて捕虜の堕天使が4体拘束されています」トモティンが言った。 「そうか。後始末をどうすればいいのか、俺としても困っている。海軍から兵士を殺されたと言われれば部隊の存続にも関わってくる。ま、まずは腹ごしらえだ」モトが言った。車を10分ほど走らせるとY4が駐屯する東戸塚基地に到着した。 「御苦労だった。まずはこれを食って腹ごしらえしろ。戦場だったら死体の横で飯を食わなきゃならないときもある。現状保存で食え」モトは紙袋をネジに手渡した。中にはシウマイ弁当が6個入っていた。ヤツはシウマイ弁当を食べながら、今回の戦闘の顛末を話した。 「シールズも悪魔に蝕まれたか……たしかに閉塞した今の社会で突破口を悪魔信仰に求める者は多いと聞いた。憑依を受け容れる者も多いとも聞いている。ただし、一般人が悪魔になってもその実力はたかが知れている。Y4はそのためのユニットだ。だが最強の特殊部隊、シールズのメンバーともあろう者が死を恐れて悪魔と契約するとは世も末だな」モトがシールズの遺体を見て言った。 「シールズの隊長ですが、あれは憑依ではなく本物の悪魔でした。人間が完全に悪魔に変じてしまうことってあるんっすか?」ヤツがモトに尋ねた。 「悪魔に憑依された人間が子供をもうければその子供が本物の悪魔に変ずることがあり得る。鬼や夜叉、羅刹の類の系譜なら我が国にもある。人間が悪魔に変ずる時には何らかのきっかけが必要らしいが……」モトが言った。 「ここでこんなことを言うのもなんですけど、弁当うまいっす」タクオが言った。 「だんだん軍人らしくなってきたな、2等兵」モトが言った。 「でも今晩、寝られないかも。あの広い兵舎で一人寝るのは正直怖い」タクオが言った。 「基地の建物の損傷もかなり酷いし、堕天使の捕虜もいる。SS横浜本部に報告しよう」モトはSS横浜本部に電話した。40分後、SS施設庁とSDの人間がやって来た。(つづく) 次のページに進む メニューに戻る |