| 第7話 プライベート・ヨンチョル(その1) 2008年10月某日、社会主義革命戦線軍が停戦軍事境界線を越え、板門店を占領した。勢いに乗る革命戦線軍は1日で春川(シュンチョン)と仁川(インチョン)の国際空港を占領、大韓王国と第三帝国の領土を侵犯した。 そもそも社会主義革命戦線と朝鮮半島で戦っていたのは第三帝国だった。しかし1953年、この混乱に乗じて義勇SSのイ・クワンデ武装中佐が反乱を起こし、ソウルから済州(チェジュ)島までの範囲を奇襲によって獲得し米州連合の援助下で大韓王国を建国した。 しかし、クワンデ王の思想統制と人権侵害は米州連合のリスクとリターンのバランスを崩し、米州連合は国内世論の後押しもあって、大韓王国への直接の支援を打ち切った。しかし、イスラエルを窓口にして武器の供与を続けていた。 1972年、クワンデ王は兄を殺された共産主義者の自爆テロで落命し、2代目のジンホ王が即位した。穏健なジンホ王はまず、第三帝国との関係を修復した。そして、相互不可侵と防共の両条約を結んだ。 義勇SSのヨンチョル・キッテル武装2等兵は第三帝国領で産まれた多くの青年がそうする様に武装SSの義勇兵として共産主義との闘いに身を投じた。釜山で部隊の編成が行われ、ヨンチョルは本国の特殊攻撃部隊の指揮官が指揮をとる第1機甲擲弾兵大隊B中隊に配属された。 「よう2等兵、あまり頑張りすぎるなよ」直属の小隊長、ヤツ・クーバウアー武装SS中尉が言った。 「はい、気をつけます。ジーク・ハイル!」ヨンチョルが言った。 「元気がいいのはいいことだ。ただし、前線でオレに敬礼するなよ。敵は指揮官を殺すのに長けている」ヤツがいった。 「わかりました」ヨンチョルが言った。 第三帝国は3日で春川の奪還に成功し、航空部隊の支援を受けながら西に転進し、革命戦線側の首都、平壌を目指した。 それに対して旧式の武装しか持たない大韓王国は3日目に第1戦車連隊A中隊長で大尉のヨンジン皇太子が非武装地域(DMZ)で戦死し、第1戦車連隊H中隊所属の中尉クンスウ第2皇子が板門店攻防戦で戦死した。(つづく) 次のページに進む メニューに戻る |