| 第64話 魔王からの招待 ボンバー・プレッパーは第三帝国海軍特殊部隊「シールズ」所属の大尉である。ボンバーは歴代のシールズ隊員の中でも栄光に満ちた経歴を誇っていた。 ボンバーは男爵家の子息でありながらSS特殊攻撃旅団の長にまで昇進したイハラ・フォン・ケルナー武装SS准将に憧れていた。しかし、一家がSS嫌いだったため、ボンバーは最強の特殊部隊であるシールズを目指した。 今日はその憧れの人に食事に誘われて、ボンバーは半ば浮き足立っていた。イハラの指定した店は豪華で静かな個室で最上級フレンチを味わえることで有名な店だった。ボンバーはクリーニングから帰ってきたばかりの袖に階級を示す金色のラインが入ったダブルブレストで濃紺の制服と形を整えておいた濃紺の制帽を見につけ、鏡で身だしなみを入念にチェックして追浜にある基地に来る予定の迎えの車を待った。 迎えの車は最高級のベンツだった。中の上といった出自のボンバーは後部座席に座ると完全に浮き足立ってしまった。ベンツは滑るようにして基地のゲートから出ていき、葉山の御用邸そばにある店へと向かった。 「はじめまして、私がイハラだ。シールズ史上屈指のエリートを招待できて嬉しいよ」イハラはSSの黒制服を身につけて待ち合わせ用ラウンジでコーヒーを飲んでいた、しかもそのコーヒーはボンバーがいつも飲んでいるでっかいマグカップに入ったアメリカンではなく、小さなカップに入ったデミタスである。完全にボンバーは舞い上がってしまった。 「は、はじめまして。海軍特殊部隊所属の大尉、ボンバー・プレッパーであります。准将殿に招待され、感激しております」ボンバーが言った。 イハラとボンバーが席につくと前菜が出た。キャビアがこれでもかと盛られているテリーヌを見て、ボンバーは感動を覚えた。 「私に遠慮せずに食べなさい」ボンバーが躊躇しているとイハラが言った。ボンバーは手を振るわせながらテリーヌとキャビアを食べた。イハラとボンバーが前菜を食べ終わると、次に魚料理が出た。魚料理はカルパッチョだったが、産まれてから一度も食べたこともないほど美味だった。カルパッチョはボンバーの隠されていたなにかを目覚めさせた。(つづく) 次のページに進む メニューに戻る |