第63話 トモティン、死す

ヤツはためらわずに引き金を引いた。が、外した。トモティンが破魔の呪文を唱える。呪文は抵抗された。タクオも破魔の呪文を唱えた。が、またもや抵抗された。シュンスケは間合いを詰め、ヤツに襲いかかった。ヤツは鉤爪を食らい、気絶した。トモティンが破魔の呪文を唱える。が、シュンスケは抵抗する。タクオはヤツの傷を治した。ヤツは起きあがった。シュンスケはトモティンに襲いかかった。トモティンは死んでしまった。ヤツは銃を構え、シュンスケを至近距離から撃った。シュンスケは倒れた。砂漠の死霊がトモティンに取り憑かないようにタクオはすぐ蘇生の呪文を唱えた。トモティンは無事、復活した。ヤツの携帯のバイブレーターが振動した。電話はネジからだった。

「こちら秋葉原チーム。目標を倒した。山手線に乗って秋葉原まで来てくれ」ヤツが言った。ヤツが電話で話している間にトモティンとタクオは砂漠の悪霊が他の肉体を求めてシュンスケの肉体を捨てる前に結界を張り、シュンスケを取り巻く結界の中に砂漠の悪霊を閉じ込めた。悪霊はシュンスケの肉体から出られなくなった。

しばらくして、銀座チームが秋葉原チームと合流した。周囲に悪霊の気配はない。

「見事な封印だ。魔術師にここまでやられちゃ本業の陰陽師は失業するな」ヤツがグールの姿のまま死んだシュンスケの遺体の前で言った。
「遺族にはどう説明する?」ネジがヤツに尋ねた。
「それはシンジ・ファイフェンベルガーが何とかするだろう。たぶん、帝国主義連盟陸軍外人部隊が空の柩を送ってジ・エンドだ」ヤツが言った。
「下級の悪魔でも優秀な奴に取り憑くと強敵になることがわかったよ。俺は奴に殴られて失神したし、トモティンに至っては殺されてしまった。タクオが居なかったら俺たちは筋肉を食いつくされていただろう」ヤツが続けた。
「いまSSに遺体の回収を要請した。砂漠の悪霊はシュンスケの柩に封印して火葬し、魔界へと送り返す。グールについて知りたければ今の内に遺体を見ておけ」ネジが言った。ヤツがシュンスケの口を開く。犬歯が異常に尖って伸びていた。シュンスケの歯は全て肉食獣のそれとなっていた。トモティンはシュンスケの手を見た。長くて丈夫そうな鉤爪が生え、指の太さは標準的な軍人の1.5倍ぐらいの太さをなっていて筋肉が異常に発達していた。

「まさに肉食獣だな」ネジが言った。
「ああ。まさに肉食獣だ」ヤツが言った。ヤツはY4部隊の敵の強さを初めて実感した。(つづく)

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