第57話 チーム・シャムスカの帰還

アフガン遠征軍はこっそりと帰国し、こっそりと原隊へと戻っていった。そもそも、今回のアフガン戦争は第三帝国領内では全く報道されていなかった。SSが仕切る軍事作戦は大概極秘裏に行われ、報道されることはない。軍事行動の後で必ず祝福されてきた陸軍出身のハジはなにか寂しい気分になった。

「これがSSだ。それから、戦場に行っている間に独身寮の部屋の手配が済んだ。荷物も陸軍の独身寮からこっちに届いている」ハジが暇そうに窓の外を見ているとタッキーが言った。
「わかりました。ジークハイル」ハジが敬礼した。
「意外に思うかもしれないけどSSでは同じ部隊の者同士の敬礼は省略だ」タッキーが言った。
「わかりました。気をつけます」ハジが言った。ハジはそれから数日間、部屋の整理に追われた。

「モトさんでしょ、ペリクレス・シャムスカを主席参謀にして戦場に送り込んだのは」私服のアツが焼き肉をガッツリ食いながら言った。
「『ザイオン』の内容を見てみれば相当強力な兵器の図面も含まれていることが判る。社会主義革命戦線が貧乏ゆえに量産できなった兵器の数々が『ザイオン』のデータベースに含まれている。オイルマネーを手にしたタリバンは以前の貧乏タリバンとは非なるものだ。そこに『あの』中将とか『あの』准将とかを送ったら兵士が皆殺しになる。だから参謀本部時代のコネを利用してペリクレス・シャムスカを主席参謀に推挙した。ソリ・フォン・フェーゲライン中将を指揮官に推挙したのはオリンピアの戦いでの汚名をそそぐチャンスを与えたといったところか」同じく私服のモトが真っ赤なスープを啜りながら言った。
「お見事」アツが言った。
「憑依から解放されたシャムスカなら反逆者の汚名を注ぐために適切な策を指揮官に進言すると思った。ま、効果は期待どおりといったところか……」モトが続けた。
「期待以上だよ。米州連合の戦死者は300人。帝国主義連盟の戦死者は240人。それに対して、第三帝国は20人。よほど凄い指揮官か参謀がいなければこうはならない」アツが肉を焼きながら言った。

「SDから聞いた話だと、シャムスカに何者かが陰陽道の術を使って悪魔を憑依させたらしい。そして、肉体を奪われたシャムスカは反乱をおこした。俺たちはシャムスカを殺したと思った。だが、シャムスカの肉体の死と同時に肉体に取り憑いていた悪魔は魔界に帰った。復活させてみたシャムスカは元の冷静な参謀に戻っていた。ただ、陸軍は魔術を否定している。魔術の力で復活したシャムスカは陸軍には戻せない。かと言って、軍から追放されてテロリストの軍師になるのも困る。そこで給与等級が同等の陸軍中将から武装SS少将にしてSSで身柄を引き取った。一応はトップの決断ってことでね」モトが言った。(つづく)

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