第56話 参謀

「『ザイオン』もオイルマネーも正規軍を指揮して戦ったことがない奴らにとっては無用の長物か」イハラがアフガン攻撃のレポートを見ながら呟いた。

「さて、サウジアラビア戦争はいつ始めますか?」4.25旅団の生き残りのヨンハッがイハラに尋ねた。ヨンハッもまた、マルコキアス氏族の堕天使に憑依されている
「米州連合と帝国主義連盟の再編が終わり次第だ。血は我々悪魔の糧となる。戦闘は激しければ激しいほどよい」イハラが言った。
「でもタリバンにはあれだけのおもちゃを与えておきながらシャムスカの時は何もしなかった。なぜです?」ヨンハッがイハラに尋ねた。
「シャムスカが邪魔だったからさ。上官があまり有能なのは困る。だから芽が出る前に潰した」イハラが言った。
「さすがはルシファー様。腹黒いですな」ヨンハッが言った
「後はモトを手に入れるだけなのだが、あいつの精神力は半端じゃない。寝入りばなに悪魔を憑依させようとしても拒絶される」イハラが言った。
「じゃあ、邪魔者として殺してしまえばいい」ヨンハッが言った。
「従順な主席参謀を殺すのか?」イハラが言った。
「それは確かに不自然だ」ヨンハッが言った。

その頃、ハジは自分の未熟さを思い知らされていた。車長としての自分の指揮に問題はないが、中隊長であるタッキーが中隊をたくみに指揮するのを見て、まだ自分が中隊長になる日は遠いと思った。戦車隊は支援を十分得てから優位地形から攻撃出来たので損害は数両の故障で済んだ。

「ああ、あのオリンピアの戦いでこれだけやれれば勝てたのに……」ハジは思った。

「陸軍のStrf−121からSSのStrf−122に乗り換えた感想はどうだ?」タッキーがハジに声をかけた。

Strv−122戦車

「戦車は車長次第だということがわかりました。まだまだ勉強です」ハジが言った。
「だがさすがは陸軍士官学校出身だよな。クルーの力を発揮している。ハジならすぐに中隊長になれそうだ」タッキーが言った。
「ありがとうございます」ハジが言った。
「ところでなぜ第三帝国軍だけ損失が少なかったんですか?」ハジがタッキーに尋ねた。
「主席参謀が優秀だからさ」タッキーが言った。
「誰なんです?まさかモトさん?」ハジが言った。
「ペリクレス・シャムスカ元陸軍中将だ。先の反乱で命を落としたが命運が尽きていなかったから魔術で蘇生して武装SS少将として復帰させた」タッキーが言った。(つづく)

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