| 第54話 突然の転属 ハジが夜勤から解放されて基地に戻ると、自分がロッカーに置いていた私物が全部ダンボール箱に詰められていた。ダンボール箱の上には今日付けでSS第1戦車連隊第2大隊H中隊への転属という内容の辞令が乗っかっていた。ハジはダンボール箱の中に辞令をいれてそれを抱えて愛車に積め込み、SS第1戦車連隊第2大隊の基地がある相模原に向かった。途中首都高の渋滞にはまったものの2時間余りでハジは相模原にあるSS第1戦車連隊の基地に到着した。 ハジは早速第2大隊長のアツの元に出頭した。 「よく来たね、歓迎するよ。事情はモトさんから聞いている」アツが辞令を受け取り、言った。 「悪魔でも歓迎してもらえますか?」ハジが尋ねた。 「この部隊では戦車乗りとしての技量だけが求められている」アツが言った。 「で、ハジ武装SS少尉の所属部隊はH中隊だ。H中隊の隊長にも挨拶に行くように」アツが言った。 「判りました。ところで制服の件なんですけど戦車兵服も自腹ですか?」ハジが尋ねた。 「原則士官は自腹だけど徽章のついていない兵用の物なら手に入る。ただし徽章は自腹だ」アツが言った。 「判りました」ハジが言った。 「H中隊長に挨拶に行って来い」アツが言った。 「了解。ジークハイル」ハジは敬礼するとダンボール箱を抱えてH中隊指揮官室に向かった。 「僕がH中隊長のタッキー・シャラ武装SS大尉だ。事情は聞いている。この部隊の隊員は僕を筆頭に過去に傷を持つ者が多い。おたがい、過去は不問にしよう」タッキーが言った。 「了解」ハジが言った。 「僕は14歳の時、『ゲーム』に選ばれてしまった。最初のうちは逃げまわっていた僕たちだったけど、生き残りの人数が少なくなるにつれてお互い激しい殺しあいを始めた。その殺し合いが終わった頃、勝利を確信した同級生に向かって引き金を引いた。僕はゲームの勝利者になった。でも自分が生きていることに負い目を感じていた。でもこの部隊に来て激しい戦闘を繰り返すうちに自分の人生について負い目を感じなくなった。ここはハードな部隊だ。覚悟はしていてくれ」タッキーが言った。(つづく) 次のページに進む メニューに戻る |