第52話 疑心暗鬼

その後、ハジは任務に戻った。悪魔になってみてわかったのは一般社会にこんなに多くの悪魔がいるのかと感心するぐらい人間の姿をした悪魔が大勢いたことだった。

ハジはY4部隊と組んで行動している帝国少年団の2つ上の先輩、マサキ・ハイデン武装SS中尉に電話した。ちなみにモトもこの2人と同じ少年団の出身である。マサキは運転兵と二人で練馬にY4念願の専用装甲車を受領しに行った帰りに非番になったハジと池袋で合流した。ハジは96式装輪装甲車に乗り込んだ。ハジが装甲車に乗ると同時にマサキはネジに電話をかけた。

ハジがマサキの装甲車で横浜に向かっている頃、留守番明けのモトにネジが電話をかけた。モトはいつもの焼肉屋の2階座敷に来るよう命じた。

基地まで装甲車で戻ってきたマサキとハジはネジと共に焼肉屋に向かった。ネジはハジの正体が見えたのか、ハジに対して警戒心を持った。

「はじめまして、ハジ君」モトが言った。
「はじめまして、大佐どの」ハジが言った。
「モトでいい。それより何の用なんだ?」モトがハジに尋ねた。
「この部屋に盗聴器はないですよね?」ハジがモトに尋ねた。
「大韓王国中央情報部KCIA御用達の焼肉屋だ。その心配はない」モトが言った。
「じゃあ、今日、自分に起こったことを話します。信じてもらえるかは別ですが」ハジが言った。
「実は僕、イハラ准将に術をかけられて、悪魔になってしまいました」ハジが続けた。
「で?」モトが言った。モトが陰陽師なのをY4のメンバーで知る者はいない。
「イハラ准将に相談しようと思ったらイハラ准将も悪魔だったんです」ハジが言った。
「で?」モトがきわめて冷静な表情で言った。
「驚かないんですか?モトさん」ネジが言った。マサキの頭はパニクってきた。
「イハラ准将が魔王ルシファーなのも知っているし、ここにいるハジ君が魔王アスタロトなのも見えている。俺、陰陽師だから」モトが冷たい笑みを浮かべ、言った。
「じゃあなぜイハラ准将の主席参謀を務めているんですか?オレ、何度もモトさんにイハラ准将が悪魔だって言おうとしていたのに」ネジが言った。
「イハラ准将が暴走した時、オレが術で奴を刻む。そういうことだ。オレがSS本部のコンピュータに侵入し、自分の個人記録から陰陽師関連の記載を全部消去したから幸いなことにオレが陰陽師なのはゲシュタポにすら知られていない」モトが言った。(つづく)

次のページに進む

メニューに戻る