第51話 ポゼッション

池袋連隊の全滅に伴い、一番近いところに駐屯している陸軍第1師団第1戦車連隊「レッドダイヤモンズ」が池袋に派遣された。ハジ・ヴァイドリング陸軍機甲科少尉のStrv−121戦車も池袋に派遣された。

Strv−121戦車

イハラはSSが最大の被害を出した池袋の現場を視察すべく、出かけていった。モトは留守番待機を命じられた。新しい展開もなく、退屈極まりなかったモトはゾンビと戦闘を行った者のブーツにゾンビウイルスに汚染された血液が付着している可能性があることにふと気づいた。SSの各部隊に使い捨て防水手袋をはめてブーツを磨いておくこととゾンビウイルスに汚染された血液が付着している可能性のある車両の清掃を行うように命じた。

「仕事が増えたな」Y4の一行は渋々ブーツを磨き始めた。

その頃池袋にいたハジは突如胸苦しさを覚えた。ハジは車長席で倒れこんだ。ハジが倒れこむと同時にあたりから悲鳴があがった。ハジは車長席から引きずり出されて手当てを受けた。

ハジは霊的に何かが侵入してくるのを感じた。ものすごく強烈な霊体が自分の体を乗っ取ろうとしていた。ハジは何とか侵入してくる霊体を強引に押さえ込むことに成功した。

倒れてから10分後ハジは目を覚ました。周囲を行き交う人々の中に悪魔が何人もいた。ハジは戦車のバックミラーで自分の姿を見た。そこには燃えるように真っ赤な髪に獣の角、先端が尖った獣の耳に黒いカラスの翼の悪魔の姿があった。

「僕、悪魔になっちゃったの?」ハジは言いようのない不安感に苛まれた。そして、誰かに相談したいと思った。ハジはイハラを目で追った。

ハジは目を疑った。6枚の黒い蝙蝠の翼を持ち、2対の獣の角と先端が尖った獣の耳という姿の悪魔がそこにはいた。

「どうやら、真実が見えるようになったようだな」イハラがハジに言った。
「真実って……じゃあやはり自分は悪魔に?」ハジが言葉を失った。
「そうだ。お前は悪魔だ。もう引き返す道はない」イハラがハジに言った。ハジは絶望のあまり頭を抱えた。(つづく)

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