| 第49話 テロの真相 翌朝、モトはSS帝都本部にいた。最期まで残っていた池袋のゾンビは陸軍第1師団の戦車連隊によって駆除された。モトは遺体回収が進むにつれ、どの現場にも昨日の銃乱射事件の犠牲者がいることに気がついた。 「犯人が使ったVZ61が使用する弾薬は貫通力があり、致死力の強い7.62mmモーゼル弾だ。なのに死者9人負傷者100人はあまりにバランスが悪すぎる。まさか、犯人は暗殺用のコンテナ弾を使用していたのか?」モトは知人のSD検視官から入手した空薬莢を見ながら思った。空薬莢の底面にはハングル文字でなにかが刻印されている。どうやら知人のSD検視官はモトが持つコリアコネクションに依存したいらしい。 「寝てないんじゃないのか?」イハラがモトに言った。 「ああ、いろいろ考えていた。これは推測だが、銃乱射の犯人は旧北朝鮮の4.25旅団の支援を受けていた可能性がある。ハングル文字の刻まれた薬莢、貫通力に優れた7.62mmモーゼル弾が一発も貫通していなかったことから疑われる暗殺用のコンテナ弾使用の可能性。通常暗殺をする時は致死性の毒をコンテナ弾の中に入れるのだが、今回は恐らくゾンビウイルスを中に入れていた。ならば死傷者がゾンビ化する可能性は高い。ゾンビウイルスとコンテナ弾両方の出所になり得るのは相当優秀なテロ集団だ。そして、我が国に敵対する優秀なテロ集団は我が国によって祖国を追われた旧北朝鮮の4.25旅団だ」 「推理小説としては良いあらすじだな」イハラが言った。 「俺はかなり本気で言ってますよ」モトが言った。 「そう言えば銃乱射の犯人はわざわざVZ61を投げ捨てて拳銃で自殺していたな。使用していた弾薬が特殊なら自殺する時に銃を交換した理由はこれで証明できるな」イハラが言った。 「そのVZ61に未使用の弾薬が残っている可能性がある」モトが言った。 「判った。SDに調べさせよう」イハラはSD化捜研に電話した。 「化捜研も弾薬がコンテナ弾だったことが判っていたようだ。今朝連絡するつもりだったそうだ」電話で話し込んでいたイハラが電話を切り、言った。 「そいつは手遅れだったな。予算を減らされるぞ」モトが言った。 「全くだ。3,349人が死ぬ前に8体を火葬して100人を拘束しておけばこんなことにならなかった」イハラが言った。 「3,349人?!」モトが驚いた表情で言った。 「無論死者の中には全滅した池袋連隊の将兵も含まれている」イハラが言った。 「民間人が一番死んだところは?」モトが尋ねた。 「新宿駅前だ。500人以上死んだ。それから帝都メトロ副都心線渋谷駅でも347人が死んだ」イハラが言った。モトは天を仰いだ。(つづく) 次のページに進む メニューに戻る |