第33話 2つのザイオン

モトはハードディスクをデスクトップのパソコンを解体してセットするとLAN接続したノートパソコンからデータ復活を試みた。ハードディスクのデータは完全に復旧した。デスクトップのパソコンを起動してハードディスクの中身を見ると特定のサイトに頻繁にアクセスしていた履歴があった。そのサイトのログインボックスに打ち込まれたユーザー名を打ち込むと、ご丁寧にパスワード欄が埋まった。そのまま実行キーを押すとそのサイトにアクセスできた。

「『ザイオン』?!ユーザー名は4.25、パスワードはPURPLELINE……まさか旧北朝鮮の4.25旅団の生き残りがアフガンにいたのか?」モトは表示された画面を見て絶句した。4.25旅団とは敵国に少人数で侵入し、破壊活動を行うために組織されたテロ活動部隊だ。モトが画面に見入っていると、セーゴーから電話がかかってきた。モトは携帯電話を取った。

「大変や。授業中の中学校で教師が自爆テロやらかして死者15人、行方不明13人や。あとヤクザが抗争でAK47をぶっ放して5人死によった。はよTVつけてくれへん?わてには今、出動命令が出たわ」セーゴーが興奮した様子で言った。

「六本木ヒルズのオフィスで解雇されたディーラーが自爆テロ。死者19人、行方不明10人」中学校での自爆テロのニュースの上にテロップが流れた。

「イハラだ。時差ボケしているだろうが、TVをつけてくれ」セーゴーからの電話の次は現在の直属の上官、イハラ・フォン・ケルナーSS第1特殊攻撃旅団長からの電話だった。
「ああ、セーゴーから聞いて今見ている。何の騒ぎですか?」モトが言った。
「『ザイオン』へのアクセスコードが何者かによってあの『5ちゃんねる』に書き込まれた。『ザイオン』は場所ではなく、社会主義革命戦線の武器設計図および製造法を記したウェブサイトだったのだ」イハラが言った。
「つまり、わざわざアフガニスタンまで行って入手した情報がいま飛び交っているわけですね」モトが言った。
「しかも5ちゃんねるのサーバとザイオンのサーバがどちらも大分県にある」イハラが言った。
「5ちゃんねるが大分にあるのは常識の範囲内ですが、ザイオンのサーバが大分にある。これは意外ですね」モトが言った。
「両方にアクセス制限をかけたが、これから何人のテロリストが現れるかわからない。SS第1特殊攻撃旅団にも待機命令だ。すぐに基地に来てくれ」イハラはそう言うと電話を切った。

「とりあえずアクセストラッカーを走らせてこっちの『ザイオン』の所在地だけ調べてから行くか」モトはアクセストラックプログラムを起動した。

「メッカ、サウジアラビア?!」モトはアクセストラックの結果を見て呆然とした。(つづく)

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