第27話 13日後

長い苦闘の末、大韓王国はムジャヒディンを降伏させ、ハン島を手に入れた。真っ先に行われたのがスンジン皇子の捜索である。降伏前に第1機甲連隊所属戦車C中隊が敵の本拠地に乗り込んでいったが、もぬけの殻だった。事実、白旗片手に降伏文書を持ってきた兵士はまだ十代前半の子供だった。子供の証言によると、皇子を再教育するため、皇子は貨物船に乗せられ、中東方面に連れていかれたという話である。急遽呼び出されたジョンファンら精鋭1個中隊は恐る恐る敵の本拠地に入っていった。ジョンファンらは中東方面関連の貨物輸送の伝票の山を司令部の兵站部隊の部屋で発見した。

「やはりアラブか……」ジョンファンは呟いた。
「次の任務は救出作戦ですね」大隊付き曹長が言った。
「それは国王陛下が決めることだ。俺たちは呼ばれたら行くまでだ。その伝票を全部、ハン軍団指令官の元に持っていってくれ」ジョンファンが言った。

ジブラルタルからインドシナまでは帝国主義連盟の領地である。そこでは第三帝国を追われたユダヤ人たちが収税使や官僚、そしてユダヤ人国家イスラエルの軍人として帝国主義連盟の統治に参加していた。

アラブの各部族の王やインドのマハラジャは贅沢な生活を許され、骨抜きにされていたが、貧民層や知識階級の間には反帝国主義連盟の機運は高まっていた。彼らが武器を手にすれば、ジブラルタルからインドシナまで火がつくことは目に見えていた。

そして武器がついに彼らに渡った。イスラム教組織ムジャヒディンが武装蜂起したのだ。貧民層のストライキを恐れた各部族の王は武器をつくる工業力と資金をムジャヒディンに提供した。

ムジャヒディンは「ザイオン」と言う名の秘密都市で製造されたとされる革命戦線の武器で名刺代わりにハン島で軍事行動を行った。潤沢な資金と工業力を得たムジャヒディンは予想外の強敵となった。事実、ハン島では大韓王国軍の21個もの中隊が殲滅された。これは先の革命戦線との戦争での損害の10倍に相当する。

ジョンファンは事前の情報入手なしでムジャヒディンの本拠地に乗り込まされるのを良しとはしなかったので、情報収集のため第三帝国の関係者、特に親衛隊の高官との接触を試みた。(つづく)

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