| 第20話 魂の取引 E中隊は4方を敵車両部隊に包囲され、次から次へと分隊が倒れていった。E中隊長であるツヨは覚悟を決めた。 ツヨは「神降ろし」の術をかけ、大天使ラファエルを自身に憑依させた。その後の意識はラファエルに支配されたため、記憶にはない。 翌日、救援に来た機動歩兵H中隊はおびただしい数の焼け焦げた死体や破壊された車両の円の中心で一人気絶していたツヨを収容し、後送した。後送されたツヨを見たネジとユースケはツヨが悪魔に憑依されていることに気がついた。ネジはモトにこのことを報告した。モトはツヨの収容されている野戦病院に向かった。 野戦病院で、ネジの報告が正しいことにモトは気がついた。 「悪魔と契約したな、大尉」モトが言った。モトも陰陽師なので「死神の目」と「悪魔の目」の能力を持っている。 「死にたくなかった。ただそれだけです」ツヨが言った。 「お前は中隊と運命を共にして瀕死の重傷を負ったことになっている。だから、戦死した部下には機動歩兵連隊長から知らせるようにした。そもそも奴の命令が間違っていたのだ、それぐらいの責任を取らせるべきだろう」モトが言った。 「自分は処刑されるのですか?」ツヨが言った。 「衆目の前で悪魔に変身したら、やむをえまい。もっともお前が契約した大天使ラファエルがそんなヘマをするはずもあるまい」モトが言った。 「そうであればいいのですが……」ツヨが言った。 「ただし、前線指揮官を勤めさせるのには難がある。この戦いが終わったら本部勤務にする」モトがいった。 「ありがとうございます」ツヨが言った。 「昔の戦友に対してできることをするまでだ」モトがいった。 戦闘開始から18日後、敵将が首都に白旗を揚げた。敵将は降伏文書にサインした。(つづく) 次のページに進む メニューに戻る |