第19話 クレンダス戦記

クレンダス島までの空路の安全が確保されていないため、一行はクレンダスと横須賀を1週間で結ぶ定期輸送艦に乗った。

輸送艦には異動命令を受け、この船に乗りこんだ武装SS中尉がいた。中尉の名はノザ・シュルト。閑職に干されていた時に「君も英雄になれる」クレンダス軍団志願者募集ポスターを見て応募したのだ。ノザは下士官時代にモトの下で戦っていた。もっとも今回は偶然異なる目的で両者が同じ部隊を志願したのだ。

「なんでお前がここにいる!」モトは頭を抱えた。
「ラジバンダリの時も朝鮮の時も留守部隊だったんっす。閑職に追いやられたまま来年リストラされたら冗談じゃない。SSにしがみつくためならオレ、なんでもします」ノザが言った。
「まあ、悪いヤツじゃない。よろしく」モトが言った。

「この軍団で戦える指揮官がいたらそいつには騎士十字章物だな」タッキーが呟いた
「でもアツさんやユースケさんは悪い指揮官じゃない。意外と波に乗ったら上手く行くかも」ヤツが言った。

その夜、モトはクレンダスの地図を見ながら作戦展開を思案した。そして、船の目的地を首都ではなく、クレンダス中部の中立の港にすることに決めた。モトはクレンダスにいるイハラ准将に到着を待たずして出撃するよう連絡した。モトは機甲擲弾兵連隊長でなく、クレンダス軍団主席参謀として従軍することになった。

その主席参謀、モトの計算は正しかった。船団が着いたとき、イハラの部隊もクレンダス中部にいた。イハラの部隊だけだと思って兵を差し向けた敵は突如として大軍と戦う羽目になり、混乱の中全速力で後退を始めた。

15日までにクレンダス軍団は北島、南島、両島を制圧し、敵首都圏に肉薄した。勢いに乗った機動歩兵連隊長は功をあせってか機動歩兵E中隊に包囲下にある都市への襲撃を命じた。

E中隊長で陰陽師のツヨ・ノーベルスドルフ武装SS大尉は不吉な予感を感じた。隊員たちの命運が尽きかけているのだ。だが、自分の命運は十分に感じられた。ツヨはヘリで敵の防御拠点でもあるあの都市を襲撃した。(つづく)

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