第17話 ヘッドハント

モトの軍歴が豊かなのは首から下げている宝剣付柏葉騎士十字章を見れば一目瞭然だった。ヤツは思わず勲章に見入ってしまった。

「どうした、何かあったのか?」モトがタッキーに尋ねた。タッキーはモトと共に戦った経験がある。
「上官のアツ少佐とヨースケ大尉が呼び出しを受けたんです」タッキーが耳からイヤホンを抜いて言った。
「……お前ら盗聴しているな?」モトが言った。
「ええ、まあ……」ヤツとタッキーが言った。
「まったく秘密警察のやつらが節操なく盗聴器を仕掛けまくったおかげで軍事無線を使えばどこの部屋の中の会話も筒抜けだ」モトがため息をつきながら言った。
「で、アツとヨースケ大尉とやらはどうなった?」モトが言った。
「クレンダス軍団送りです」タッキーが言った。
「俺も運が向いてきたな」モトが言った。
「え?」ヤツとタッキーが言った。
「俺はこれからクレンダス軍団に志願するつもりだ」モトが言った。
「なぜ自ら掃きだめに飛び込むんですか?理解できない」ヤツが言った。
「そこに戦場があるからだ。戦争を職業として選んだ者なら当然だろうが」モトが言った。
「でもろくに戦わないで参謀本部でふんぞり返ったまま昇進していく奴らだっているじゃないですか?」ヤツが言った。
「そういう奴らが作戦を立案なさるからクレンダスみたいに戦場でいたずらに戦死者を増やすことになる」モトが言った。
「確かに……俺もクレンダス軍団に志願します」ヤツが言った。
「でもヤツ、お前には家族があるんだろ?」タッキーが言った。
「俺の家族は俺が職業軍人だということを理解している。それに、あの将軍様の下でご機嫌取りをするよりもより、この大佐どのの下で戦うほうが面白そうだ」ヤツが言った。

「さあ、どうするタッキー。俺と来るか、あの将軍様のご機嫌取りを続けるか、即決しろ」モトが言った。
「……僕もクレンダス軍団に志願します」タッキーが言った。

部屋からアツとヨースケが出てきた。アツはモトの胸に飛び込み、泣いた。ヨースケは怒りの表情を浮かべていた。(つづく)

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